バイトが忙しかったある日。


キッチンは狭いので唯とぶつかった。


「ゴメン!」


「いいよ」


唯がキッシュを焼く手を一瞬止めた。


「紗美さん」


「ん?」


「今自分とぶつかって少し嬉しかったでしょ?」


「うん!」


唯が言ったのは、わたしが唯に触れられて嬉しかったということだ。


唯はわたしのこと分かってる。