「葵、」
「…何だよ、那奈」
生徒会室にて、生徒会長の“那奈”と副会長の“葵”で雑務をこなしている。
他の、もう一人の副会長“雨沙”会計の“雷”書記の“奏叶”は部活やら先生からの呼び出しやらで留守だ。
「…ゲーム、しない?」
「何の。」
那奈の言う『ゲーム』は何時も地味に命がけのものだ。
「勿論、サバイバr-」
「却下。」
「つまんないわ。」
プクッと頬を膨らませ雑務に戻る那奈。
―可愛いな畜生。
と葵は心の隅で思うのだった。
しばし沈黙した後、再び那奈が口を開く。
「ねね、もうすぐ雑務終わりよね?終わったら帰れるわよね?」
「ん?あぁ、そうだな。」
「じゃさ、帰りコンビニよらない?」
「お前、妹は?」
那奈はあり得ないほどのシスコンだ。
それを知っていった葵は自分の事、自分の気持ちは二の次で先ず相手の事を考える。
それが葵だ。
「良いの、良いの。今日は葵と居たい、」
「そう。」
―妹と喧嘩でもしたんだろな。俺の気も知らないで俺と居たいとか糞ッ…。
葵は少し不機嫌になって掛けていた黒淵の眼鏡をクイッと上げた。
雑務の時は、この眼鏡を着用している。
ギャップ萌えでもあるのだろうか、眼鏡をかけて居る日は女の子に告白されやすい。
逆に掛けて居ない日はモテない。
「…終了、」
「こっちも終わったわ。さっ、行きましょ!」
「…あぁ。」
とりあえずコンビニに行ってピザまんとカレーまん1つづつ買い、半分に割って2人で交換する。
―俺は女子高生かよ…。
そう思いながらも葵は那奈と半分にし交換する。
「那奈、」
「ふぁひ?」
カレーまんを口に頬張って返事をしたので変な発音になってしまうが「何?」と言いたいのであろう。
「…うん、良いや。」
「―ゴクッ、そうね、私は葵、好きよ?」
「考えてること分かるとかお前エスパーか!?」
「にっしし♪」
そう笑うと那奈は隣に座っている葵の方を向き葵の頬にキスをした。
「―――!?!?」
葵は何が起きたか分からない、といった表情で目をかっぴらいて那奈をみる。
「な、那奈、さん…?」
那奈は隣でモフモフとピザまんを食べていた。
「…ふっ」と葵は静かに笑った。
「那奈、それ全部食べ終わったらこっち向いて。」
「……?」
すでに食べ終わって居たのか那奈はこちらを向く。
するとすぐさま葵は那奈の唇に自分の唇を重ねた。
「――ッ」
今度は那奈が何がおきたの!?と言う表情で葵を見る。
すると葵は「ははっ、仕返しだ。」と言ってそっぽを向いた。
お互いの頬は、赤かったという。