「一年か二年早く生まれた程度で、デケェ口叩いてんじゃねぇぞ雑魚が」

ジャリ。

一歩踏み出すと、相手は後ずさる。

数えていないので正確な数は分からないが、二十人以上はいるだろう。

どれも喧嘩慣れしてますといった、見るからに不良というような連中ばかり。

そんな連中が、龍太郎一人に気圧されていた。

当時、龍太郎の名は近隣の中学高校にまで轟いていた。

『まともじゃない』

『イカレてる』

『あいつのは喧嘩じゃない、殺し合いだ』

事実、病院送りにした相手も数知れず。

警察の世話になった事も一度や二度ではなかった。