他に手段(とりえ)がなかったから

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『へぇ…そんな事があったんだ…』

クリスマスパーティーの会場。

少しパーティー会場を歩き回る足を止め、椅子に座っていた城山 小夜(しろやま さよ)は目を丸くする。

『今の龍太郎君からは想像もつかないね。乱暴者は相変わらずだけど、雛菊さんを泣かすほどの不良だったなんて』

「何だかんだ言っても、雛菊には頭上がらねぇな…あん時天神学園を勧めてくれなかったら、俺ぁどうなってたんだか」

黒髪を掻きながら、苦笑いする龍太郎。

繁華街のチンピラか、どこぞのヤクザか。

何にせよ、碌でもない人生を送っていたに違いない。