IMITATION LOVELESS -Remember-



憐は急いで溢れた涙を拭う。
弱くなった雨音に憐のか細い声が響く。


「…気持ち…悪い……よね?」

「…? 綺麗だと思うよ? ね、刹那」


優夜は濡れて顔にへばりつく髪を掻き上げながら微笑する。


「あぁ、綺麗だな。 …まるで」


刹那は優しく笑うと憐の手を持ち、甲に口付けを落とす。

憐は一度もされたことの無い挨拶の仕方に頬を赤くする。


「ダリアの花…」

「あ なるほど」

「だ…ダリア?」



『憐、可愛い…』

『あぁ…、まるで…』

『「「ダリアの花…」」』