「………」 優夜はお湯を見ながら思い出していた。 二年前のある日のことを…。 ―――。 「【お前達に記憶なんて、必要ない】」 「【いやだ、忘れたくない…!】」 「【止めろ、止めろぉ!!】」 ―――。 誰かに何かを言われている。 何を言われているかは覚えていない。 しかし 何か大切な、忘れてはいけない何かを忘れさせられた気がしていた。 ―――。 【《》…!!】 ―――。 記憶が無くなる寸前、誰かの名前を読んだ気がした。 「……狂ってしまいそう…。」 『亡くしてしまったモノは何…―?』