「やだぁ……魑…」
「…………こ…だ………ま…、」
谺が大切な弟の名前を囁いたとき、魑の瞼が重そうに開いた。
谺は涙を拭いながら魑の顔を見つめた。
「魑!」
「だ…、い じょうぶ…だから…、泣か…ないで…?」
「喋るな 魑」
刹那はようやく血が止まりだした魑の腹部にマントを結びつける。
「魑……」
「……れん…」
憐は優夜に支えて貰いながら魑の近くに歩み寄る。
「馬鹿……、言ったでしょ…? 僕のために…命を捨てるなって……!!」
泣きながら魑に怒鳴り付ける憐はどんなものより脆く、儚げだった。
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