二人は再び瞼をきつく閉じる。
血が滲むほど、唇を強く噛み締める。
「もし…時間が、戻せるなら、」
「憐と過ごした、鮮やかな季節を…もう一度……知りたい」
その時、二人は頬に伝う雫に気がつく。
優夜は心の中で呟いた。
"教えて 空白のままの…俺達の記憶を……"
「忘れているのは…俺達なのに……、どうして…涙がこぼれる?」
刹那の小さな囁きは雨音に掻き消された。
―ガシャン!!
突如 聞こえてきた銀属音。
二人はどうにか立ち上がり、窓辺に近寄ると下を見下ろした。
そこには二羽の梟が蜩に攻撃しているという 異様な光景が広がっていた。

