「こんにちは」 「?!」 少女はフードを深く被ると後ずさりをして逃げようとしていた。 「逃げないでよ? 俺達と遊ぼう?」 「え…?」 優夜がフードの上から少女の頭を撫でた。 そのとき、雨の臭いに混ざって香った微かな薔薇の香り。 「ね? 遊ぼう?」 「……止めておきます」 少女は踵を返して走っていってしまった。 優夜は拗ねたような顔をしてため息をついた。 吐く息の白さを見ているように何度も息を吐く。 「あのこの声 可愛かったね?」