IMITATION LOVELESS -Remember-



刹那は自分たちの自室の前でワゴンを押す優夜を見つけた。


「優夜…!!」

「刹那…?」


優夜は濡れた髪を掻き上げながら刹那を見る。


「蜩が……憐を、」

「…?」

「殺す気だ…」
「え…」


優夜は呆気にとられてしまった。

蜩といえば、記憶が飛んでいる頃から二人の面倒を見てくれた先輩だった。


「……嘘」

「真実だ……、さっき おじ様と話しているのを聞いた…」


優夜は俯いてしまう。
しかし 直ぐに顔を上げる。


「憐……」

「っ!!」


二人は急いで自室の扉を開いた。