刹那はびしょ濡れの状態で屋敷内を歩いていた。
隣に、愛すべき憐と大切な優夜が居ない。
そう思うと刹那は何か寂しさを感じた。
誰も歩いていない廊下に響くのは雨音と自分の足音だけ。
雨音は孤独を押しつぶすように強くなり始める。
刹那は狂ってしまいそうなくらいの孤独感を感じた。
「……憐…、優夜…、」
刹那は大好きな二人の名前を囁くと瞼を閉じ、思いを沈める。
すると 近くの部屋から何か話し声が聞こえてきた。
「?」
《遂に…あの方が俺のものに…?》
《あぁ…いくらでも使うがイイ、蜩》
《やっと、憐姫を殺せるんだ》
「!?」
残酷に過ぎ去る時間…―。
刹那は急いで優夜を探しに走った。

