顔を上げ男の指差した空を見ると満天の星空がどこまでも続いていた。
雲一つもない漆黒の夜空に輝く星々。
どうして気付かなかったんだろう…。
こんなにも…
綺麗だというのに。
「この空の下には沢山の人間がいる。同じような境遇にいる仲間がいる。それでも強く生きてる人間がいるというのに、死のうとするなんてバカだよな。」
男は空を見上げながら静かにそう言った。
あたしは男のその言葉で我に返った。
あたし死のうとしてたのにこいつに邪魔されたんだ。
鍵をこじ開けたり、かけ直したり、焼却炉に鍵を捨てたりしたのも全部、全部台無し。
もし今死なないで孤児院の大人や由香莉が起き出したら大問題だ。
まぁ今に始まったことじゃないし、
死んでも大問題なんだろうけど。
それでも、今死なないともう死ねないような気がする。
あたしはゆっくりと後退った。
縁まで1メートルもない。
