光~彼との夏物語~



あたしは嗚咽を洩らした。
次から次へと涙が零れ落ちていく。

すると頭に温かい何かが触れた。

大きくて優しくて温かい…

顔を上げると男が優しくあたしの頭を撫でてくれていた。
久しぶりに感じた人の温もりにまた涙が零れる。
何処の誰かも分からないような男なのにどうしてだろう。

懐かしささえ感じる。
昔何処かで会ったような…そんな感じ。


どのくらい屋上にいただろう。


男はあたしが泣き止むまで頭を撫で続けていてくれた。
あたしたちの間に沈黙が流れる。
それにしても…
何でこの男はここにいるんだろう。
絶対入れないはずなのに。

「見て。星、綺麗だよ。」

男はあたしの頭に乗せていた手を空に向け指差した。