光~彼との夏物語~



隣の家の人に見られていなければ、大人が来るのがあと少し遅ければ…
あたしがカーテンさえ閉めていればあたしは死んでいたのに…。

見事に助けられてしまったあたしは床にうずくまり、わんわん声を上げ泣いた。
「死なせてッ…あたしを死なせてよ……お願いだから死なせてぇッ…!」
そう叫びながら。

結局両親の親族にも嫌われてしまったあたしは孤児院に送られ、自分の殻に閉じこもり、自殺未遂を続け、今に至る。
まぁ、自殺未遂も今日で終わるんだけど。

あたしはつぶっていた目を開けた。
死ぬなら今だ。
高さに怖気ついて逃げ出してしまう前に終わらせよう。
あたしは一歩足を進めた。
あと数センチでこの孤児院ともさよならだ。
考えてみればいい思い出なんて何一つない。
あたしに本気で向き合わない大人とうざったい女と出会っただけ。

あたしがあの時助けられた意味なんてどこを探したってない。
あたしは生きている意味なんてない。