次の日から私は
極力先輩に近づかないことにした。


それでも先輩を想う気持ちは
強くなっていった。



先輩があの先輩と話してるのを
見かけるたびに逃げ出して。



だからいつしかあの噂は
消えていった。




ある日の放課後、
部活が終わって帰ろうとしたときだ。


「美鈴。」


この声は、先輩だ。
効きたかった声が
今では嬉しい反面、辛かった。


「あ、先輩、お疲れ様でした。
また明日っ」


できるだけ笑顔で言った。
完璧には笑えなかったけど。