先輩はあたしに 優しく声をかけてきた。 「美鈴、」 もう一回名前を呼ばれて 背の高い先輩を見上げたんだ。 そこには先輩の優しい微笑み。 「大丈夫、大丈夫。 俊樹はいないけど、美鈴には 俺らがついてるから。」 ぽんぽんって。 頭をたたいてくれて。 涙が零れそうになるのを 必死にこらえて。 「我慢する必要なんてないから、 おもいっきり泣きな。」 あったかいぬくもり。 先輩が私を包んでくれたんだ。 そこで初めて 私は泣いた。