「私のお父さんも魔術師だったわ。まあ、黒魔術だったけど」
「黒魔術は生まれながらの才能がいるだろ?ソラには学園で検査した時にその才がなかったじゃないか。まあ、俺たちもだけどな」

リクとカイには魔術の才能が無い。だけど、剣の腕なら学園でもトップクラスだ。

「でも、私だって志願してもいいでしょ?頑張って勉強してるんだし」
「いや、軍隊ってそんなに簡単なものじゃないから」
「だって別に今の時代には戦争なんてないじゃない。軍隊って言ってもただの警護なんでしょ?」

私の問いかけに、リクの大きな瞳が更に丸くなる。
「……そうだな」
リクはそう言い、立ち上がる。

「もう遅いよ」
「は?」
「だって、私、白魔術の洗礼を受けちゃったもん」
リクは更に目を丸くする。
「はぁ?」

私はにやりと笑って見せた。
それは、精一杯の強がりだった。

リクの顔がみるみる暗くなる。
でも、私は全くと言って良いほど、その事に気が付かなかった。