その時だった。

周りの女子達がざわざわしだした。

「あ、来たわ」
「私、クッキー作ってきたの」
「今日渡せるかな?」

振り返るとリクとカイが歩いてくる。

「あ、リク、カイ」
私は反射的に声をかけた。

「おお、ソラ」
笑顔で手をぶんぶん振るリク。
カイは私を一瞥しただけで表情を変えない。

「ソラお前、明日時間ある?」
「え?明日?夕方なら」

「明日も儀式の訓練か?」
刺すように私を見つめるカイ。
「おい、カイ」

「別に……」

私は頬を膨らませ、カイを睨みつける。

「明日、家に行ってもいいか?おばさんにも会いたいし」
「え?うん。いいよ」
「カイ、お前も行くよな?」
カイはめんどくさそうに頭をかく。
「どっちでもいい」

その言葉が終わった瞬間、周りの女子達が2人に群がる。

「もう、何なのよ。何であいつらがこんなに人気あるのよ」

私はぼそっと呟き振り返る。

「ねぇ、ルナ……え?」

ルナは真っ赤な顔をしてうつむいていた。

「……」

私は何も言えなかった。