あれ。

変だ。

寂しくなんかないのに。

また会おうと思えば会えるのに。


変だ。

一筋、涙が頬をつたってぽろりと落ちた。


また、この瞬間思う。


俺はこの場所が大好きだったんだと。


そして理解する。


もう戻れないという事を。



「ごめ…ちょっと、行くところがあった」

「え?律?」


俺は走り出していた。


戻れないなら今しかない。

今しかない。


まっすぐ、あの人の元へ走る。