「律さー好きな子とかいるの?」

「なんだよ急に」

「ん、なんとなく」


さっきまでの張りつめていた夢架はもういなかった。

またいつものように陽気に笑っている。


「あたしさー最低なんだぁ」


最低。

え?


「どうして?」


ばっと夢架の方を見た。

いきなり声が落ちたから、びっくりして。


夢架は目に涙をためていた。


こぼれないように、必死に我慢してるのが分かる。


だから俺は夢架から目をそらした。

俺も、泣いてるところ見られるの好きじゃないから。


「…っ、あのね」


すん、と夢架が息を吸う音がした。