刹那音




「明日の予定はいつも通りだって。千尋から伝言頼まれた」


「伊崎くん?分かった、わざわざありがとう…」


あ、千尋のことは伊崎くんって呼ぶんだ。

何だかちょっと嬉しい。



「それじゃあ、ゆっくり寝てね」


「あっ…ちょっと待って!」


「ん?」


「あの…嬉しかった」


「え?」


「律から電話が来て…嬉しかった。ありがとう」


それじゃ、と照れ臭そうに言って希衣から電話を切った。



――鼓動がさらに速くなる。