2回ほどのコールのあと、大人っぽくて透き通った女性の声がした。 「はい、野々宮です」 きっとお母さんかお姉さんだ。 「希衣さんと同じ学校の奥原です。あの…希衣さんにかわれますか?」 一気に言った。 また鼓動が速くなる。 「ちょっと待ってくださいね」 知的で、でも優しい。 そんな声の持ち主の足音が遠ざかり、遠くで『希衣、男の子から電話だよ!』という楽しそうな声が聞こえた。