朝5時に起きて、カーテンを開ける。
西から出る大きな光に向かって
うーんと、背伸びをする。

「恋したいな…」




なんて毎朝口に出てしてまう。



恋は自然に出来るものだというが、
恋の仕方を忘れた私には、
無関係な世間話にすぎない。





―トントンッ



ガチャッ



「ありさ、入っていい?」


「もう、入ってるよ」



「ははっ。ごめん、ごめん」


笑いながら、お兄ちゃんが部屋の中に入ってきた。




加賀拓哉(かが たくや)


今年で成人になった、唯一の私の兄妹。


お兄ちゃんはものすごく優しくて
宇宙1の親バカだと思う。
昔、両親が事故で死んで、
それから2人暮らししてきた。

だからか、母親の代わりに
過剰な愛を捧げてくれる。

私はそんなお兄ちゃんが大好きだ。



「俺、今日 早く出るから。」



「1人で朝食べてね、でしょ?」



「そう」



と、言いながら 部屋をじっと眺める。




「汚いからあんま見ないでよ」




「俺が入るたび、模様替えしてないか?」




「女の子は、そーゆうモンだから」



「ふーん」


と、言いながら 次は
部屋を上からぐるっと見回して、
部屋からでていった。