その瞳で見つめて~恋心~【完】

「──きゃっ!?」

進藤君の手が伸びてきた瞬間、バランスを崩して倒れてしまった。

その際にタイルに少しばかりぶつけてしまい、微かに背中が痛い。


「あ……」

気がつけばすぐ上には進藤君の顔があり、覆い被さっていることが明白だった。

そのことに気づいたあたしの心臓が激しく、大きく脈打つ。


あっ……、ダメ。
ドキドキが伝わっちゃうよ……!


それに今は顔面が熱くて、絶対に顔が真っ赤だ。

恥ずかしくなり、ぎゅっ──と思いっきり目をつむった。


しばらく瞼(まぶた)を閉じていると、額に優しくキスを落とされた。


「水嶋さん、可愛い」

驚いて目を開くと、視線が交わった瞬間に微笑を浮かべる進藤君。

彼の不意打ちの笑みに、鼓動がドクンッ……と波打った。


やがて、昼休みの終了を告げる鐘が鳴り響くと、進藤君は静かに立ち上がってあたしに手を差し伸べる。


「昼休み、終わったね」

「う、うん。そうだね……。ありがとう」

進藤君の手を借りて、自分の手を添えてあたしも立ち上がった。


──気のせいかな?
進藤君が微笑んだ気がしたのは。


キスされる前に目を閉じている間に、なぜだかそんな気がした。


「明日、楽しみだね」

「──うん!」

でも、そんなこと気にしなくていっか。
進藤君といるだけで、あたしは笑顔でいられるんだから……。


未だに手に残る進藤君のぬくもりを感じると、どうしてか安心できた。