その瞳で見つめて~恋心~【完】

「あっ、そうだ。何か、合い言葉みたいなものを作らない?」

「え?」

合い言葉……?


進藤君の急な提案に、頭の中をクエスチョンマークが独占した。


「水嶋さんは言えないから、我慢しちゃうんでしょ? だったら、体で知らせてみればいいんじゃないかな」

なるほど。

確かに言いづらくて我慢してしまうことがよくあるから、体現すれば心の準備も整っていると思う。


「それだったら、いいかも……」

「ね? たとえば、水嶋さんがよくやっちゃうクセとかない?」

「うーん、特にないけど……」

いざ、考えてみると、クセって言われるほどの仕種はない。


お互いに何にしようかと悩んでいると、進藤君がひらめいたように笑顔になった。


「じゃあ、頭を撫でるなんてどうかな? クセだと思えば自然だし」

「──うん、そうする!」

あたしは満足げに笑ってみせた。


頭を撫でる、か……。
進藤君がよくやってくれることだし、いいかも!


「困ったら、頭撫でてね」

「うん」