その瞳で見つめて~恋心~【完】

「待てよ」

「ん?」

「だったら、取引しようぜ」

「取引?」

諦めていたように見えた霧島君は、こんな非常事態にも関わらずに頭を回転させていたようだ。


霧島君の口から発した“取引”に、彼は片眉を上げる。


「この女は水嶋由奈。あのプレイボーイで有名な進藤の彼女だってぐらい、アンタだって知ってるだろ?」

「まあ、新聞部だからな」

「『プレイボーイ・進藤、彼女にフラれる!』……。最高なネタだろ?」

「ふーん……?」

新聞部だと名乗る彼は素っ気なく見える返事をしながらも、顔は興味がありげな表情をしている。


「まあ、実を言うとさ。まだ、あるんだよな。君たちの写真」

彼はポケットを探ると、ある一枚の紙を出して、あたしたちに見せた。


その紙の正体は写真で、霧島君があたしの頭を撫でている様子が映し出されている。


「これ、朝の写真。新聞部は『早起きは三文の得』を信条にしているから、カメラは肌身離さず持ってるんだよ」

「………………」

「この写真を見れば、さらに読者は進藤がフラれたって思うだろうな」

「やめてください……!」

霧島君と新聞部部員の間で盛り上がる中、あたしは大声を出した。


「進藤君のことは悪く書かないでください! 書くなら、あたしにして!」

「ふーん? ──じゃあ、明日まで待つよ」