翌朝──。


「水嶋さん。──ちょっといい?」

教室に入って早々に、また進藤君が近づいてきたと思うと、無理やり連れ出された。


「ここでいいかな」

進藤君と距離を取って後をついて行き、やがてたどり着いた場所は、裏庭だった。


「昨日さ。兄さんと帰ってたよね?」

「えっ!?」

み、見られてたの!?


呼び出されて何かと思えば、突然の話に動揺を隠しきれるはずもない。


「学校を一緒に出るの、見かけたから」

見られていたことに、全く気づかなかった。


あたしは唖然(あぜん)としたまま、進藤君の話を聞いていた。


「でさ。俺、判っちゃったんだよね」

「? な、何を?」

「水嶋さんが兄さんを好きだってこと」

「えっ!?」

な、なんで?
あたし、わかりやすいことした?
 ううん、そんなことないもん。


彼の言うことはハッタリだ。

そう思って、彼に違うと意思表示を示す。


「違う……っ」

「違う?」

あ……。

彼は毅然(きぜん)とした態度で、あたしを見つめてくる。


──あたしが進藤君を苦手とする理由は今、この瞬間なんだ。

挑発的って言っていいのかな?

この、見透かしたような瞳が苦手なんだ……。


「ホントにそう言い切れる? だって、俺の前とキャラ違いすぎるし」

「そ、それは……。先輩がいろいろと優しくしてくれるから……」