「えっ?」

突然に振られたその質問に、思わず疑問の声を出してしまう。


「この際、はっきり言わせてもらう。水嶋は進藤と無理やり付き合ってんだろ? 誰にも言わねーから。な?」


──言って、いいのかな?


何度も言うけど、霧島君とは一度も会話したことがないから、正直、信用はできなかった。


「俺、言ったよな? 水嶋が好きだって。あれは嘘じゃない」

霧島君の顔を見ると、真剣な顔つきだ。


霧島君の表情を見たら、ひょっとしたら、言えば少しは気が楽になるかな──と都合のいい考えが過ぎった。


「た、確かに無理やり、だよ。進藤君に先輩が好きなことがバレちゃったから、秘密にしてもらうってことで」

思えば、これは霧島君があたしの真実を語らせる策略だったのかもしれない。

でも、告白した途端(とたん)に清々しさはなく、こみ上げてきたのは激しい胸の痛みだった。

まるで、心臓を誰かに強く握られているようだ……。


なんで……?
胸が痛いよ……。


「……ひっく」

気づけば、あたしは嗚咽を繰り返していた。


「何、泣いてんの?」

「っ、……わかん、ないっ。けど……、胸がズキズキして、痛くて……、切ないっ……」

なんで……?
進藤君の顔が浮かぶと、涙が出てくる……。


進藤君の笑顔が思い出され、涙腺が故障したように涙が流れるばかり。

手で涙を拭って止めようと試みるけど、止まるどころかあふれて出してくるんだ。