その瞳で見つめて~恋心~【完】

「ごめん。さっきの、忘れて」

「あっ、うん」

彼にその言葉の真意を訊こうとすると、進藤君自身がなかったことにしてしまった。


結局、あの言葉の意味がわかんなかったな……。
どういう意味なんだろう?


彼のことを考えたけど、それでもあたしが求めている答えがわかるはずもなかった。


「そういえば、今日で一週間だね」

「えっ? 何が?」

「え。俺らが付き合い始めてだよ?」

「あっ、そうなんだ……」

進藤君に脅されたあの日から一週間も経っていたことに、今さら驚いてしまう。


「ねえ。いつまで、俺と付き合ってるつもり?」

「えっ……」

「いい加減、兄さんに告れば? 水嶋さんも、いつまでも好きじゃない俺といるの、ヤでしょ?」

ヤでしょ? と言われて、普通は誰もが肯けないに決まっている。

あたしは進藤君の問いに、黙るという答えしか見えなかった。


「──まあ、俺はいいけどね? 水嶋さんと一緒にいられるだけでうれしいし」

進藤君はうれしそうに目を細める。


そんな彼を見た瞬間、ズキンッ──と胸にひどい痛みを覚える。

あまりの痛さに胸を押さえてしまいそうだった。


なんで、こんなに痛いの……?
──わからないよ……。