「えっ? あっ、うん」

恥ずかしかったけど了解したので、彼の手が離れる。

そのあとに卵焼きを手に取ると、進藤君が口を大きく開けた。


「ほら、早くちょうだい?」

緊張のせいで震える中、進藤君に急かされるままにゆっくり口に近づけて、彼に食べさせた。


「え……、進藤君……っ」

進藤君の手が伸び、再び手首を掴まれて彼の唇へ押しつけられる。


その後、時間は経って卵焼きを食べ終わったと思うのに、離されない。


「しっ、進藤君……っ」

え、えっ……!?


いい加減に離してもらおうと声をかけると、指に柔らかい感触が伝わる。

明らかに、進藤君はあたしの指を舐めたことがわかった。


「──ん。卵焼きも、水嶋さんも美味しいね」

やっと指を解放すると、進藤君は唇を舐めて満足そうにする。


「……っ、進藤君のバカ」

「へえ。水嶋さんもバカって言うんだね」

頬を赤らめて言うと、進藤君は楽しそうに声を出して笑う。

でも、すぐに真剣な表情になったので、イヤな予感が過(よ)ぎる。


「でも、気安く言っちゃいけないよ。そういうの。俺だったら、無理やりにでも黙らせようとするからね」

「え……?」

そっ、それって、どういうこと?


彼の『無理やりにでも黙らせる』との発言を聞いて、声が震えた。