「お昼、屋上で食べようよ。たまには、ね?」

進藤君はあたしの横にやってきて、そう微笑んだ。


「なんか、ラブラブ度アップしてない?」

と、奈月ちゃんはため息をつきながら、迷惑そうに言う。


確かに、進藤君が笑う度にどぎまぎする回数が増えたりと、ペースに慣れている自分がいる。

だけど、まだ進藤先輩のことは忘れられないよ……。


「たまにはいいね。屋外で食べるのって」

「うっ、うん」

屋上に行くと、キレイな青空が見えてそよ風が吹き、とても気持ちがいい。


あたしたちは鉄柵の近くに座って寄りかかり、お弁当を広げた。


「あ。水嶋さんのお弁当、美味しそうだね」

「え?」

進藤君はあたしの膝に乗るお弁当を凝視している。


なぜうらやましがってるのかと彼を見ると、購買で売っているパンを手にしている。


いつもお弁当なのに、今日は作ってもらえなかったのかな?


「弁当は自分で作ってるんだ」

「えっ、そうなの?」

さすが、進藤君はあたしの考えを読み取ってわけを話してくれた。


へー、意外……。
なんか、男の子って作らないイメージがあるから。


「今日、寝坊しちゃったから、作れなかったんだよね」

「………………」

進藤君はあたしの弁当箱を見つめながら、残念がっている。

そんな彼を目にしてしまったら、誰もがかわいそうと思うに決まっている。