その瞳で見つめて~恋心~【完】

 放課後──。


今日も用具を片づけながら、あたしはため息をつく。

そのため息の原因はいつものようなプレイができず、リターンしてもアウトになってしまうばかりだった。


それに、めずらしく体調を崩した進藤君のことが頭から離れない。


進藤君がいないと、なんか調子が出ないなあ。
お見舞いに行こうかな……。


「水嶋」

「あ、進藤先輩。お疲れさまです」

実はあたしはテニス部で、進藤先輩も同じテニス部だから、かっこいい姿が見れるのでうれしい。

しかも、進藤先輩は大会で準優勝してしまうぐらい、テニスが上手い。


「ああ、お疲れ。──あ。今日、俺ん家(ち)に来る?」

「あ、はい。ちょうど、進藤君のお見舞いに行こうと思ってたんです」

「そっか。じゃあ、一緒に行こうよ」

「え? あ、あの。彼女は……?」

すると、進藤先輩は頭をかいた。

悪いことを聞いてしまったのか、眉間にしわを寄せている。


「あー。昨日から合宿行ってるから、明日になんなきゃ帰ってこないんだ」

「あ……、そうなんですか」

ということで、進藤先輩と下校することになったんだ。


──それは、まだいいんだけど。


「あ、あの。あたしと下校して、大丈夫なんですか?」

「え? 何で?」

先輩は彼女がいるし、おまけにモテる。

もしかしたら、誤解を招く噂が流れてしまうんではないかと思った。