その瞳で見つめて~恋心~【完】

 翌朝──。


家の門扉(もんぴ)の前には、進藤君の姿はなかった。


進藤君と付き合い始めてから、彼は家の前であたしが登校するときを待っていたんだ。

どうしたのかと心配して待っていたんだけど、一向に進藤君が来る気配がない。


先に、学校に行っちゃったのかな?


もしかしたらと思い、あたしはとりあえず学校に行くことにした。


学校に到着して教室に入ったんだけど、真っ先にあいさつしてくる進藤君の声は聞こえない。


あれ?
学校にも来てないんだ……。


「あっ、由奈! おはよう」

「う、うん。おはよう」

進藤君のことを心配していると、友達の奈月ちゃんが笑顔であいさつしてきた。


奈月ちゃんに聞いてもわからないかもしれないけど、確認のために進藤君を見ていないかを訊(たず)ねてみることにした。


「進藤君、知らない?」

「え? 休みだよ、進藤だったら」

「え、休みなんだ……」

「そうだけど? 知らなかったの?」

「うん。メール、なかったし」

そっか、進藤君はお休みなんだ……。
昨日、様子がおかしかったのは、それが原因だったんだ。


なぜ彼女が知っているかというと、職員室に通りかかると、先生が電話で進藤君と話していたらしい。


それにしても、めずらしい。

あたしの記憶違いでなければ、進藤君はいつだってあいさつをしてくれた。

つまりは、彼が今まで欠席したことはなかったんだ。