その瞳で見つめて~恋心~【完】

「水嶋。トランプでもいい?」

「あっ、はい」

先輩は部屋に戻ってきて、テーブルをはさんであたしの目の前に座る。


「神経衰弱でいい?」

あたしは再び肯くと、進藤先輩はテーブルを壁側に寄せ、床にカードを伏せていく。


「水嶋からでいいよ」

「はい」

「──久しぶりだな。トランプ、やるの。隼斗と最近、一緒にいることが少なくなっちゃったし」

「そうなんですか」

あたしがカードをめくる最中に、先輩の声が降りてきたので、ふと彼の顔を見る。

そしたら、進藤先輩はすごく切なそうな表情をしていた……。


「俺、水嶋に感謝してるんだ」

「え?」

「アイツがまた、本気に恋してくれてさ。で、水嶋と付き合ってくれて。──隼斗のこと、よろしくな」

「は、はい……」

あたしはそう返事をすると、めくったカードは違っていたのでペアは作れなかった。

それは、進藤君と進藤先輩への罪悪感があふれ、集中できていなかったせいなのかもしれない。