その瞳で見つめて~恋心~【完】

「水嶋といると、楽しいよ。彼女のときよりも」

「え?」

彼女のときよりも……?


聞き間違いではないか──と思いきや、進藤先輩はあたしを見て微笑んでいる。

その表情を見て、聞き間違いではなかったことを思わせる。


「ああ。じゃなかったら、水嶋とこうやって話さないよ。隼斗の彼女だってのに」

「あたしも、先輩といて楽しいです」

先輩は笑顔で言ってくれたので、あたしもつられて笑顔になって言う。


うれしい……!
あたしといて、楽しいって言ってくれて。


「そっ? 話すのもなんだし、何かしよっか。何する?」

「えーと……」

進藤君の部屋を見回すけど、彼はシンプルな色使いの室内に最低限の家具しかない。

ちゃんと整理しているんだな、と思いつつ、何をしようかが定まらない。


悩んでいる様子を見て、進藤先輩が顔を歪めて髪をかき乱した。


「つっても、隼斗の部屋だからなぁ。俺の部屋から何か持ってくるから、ちょっと待ってて」

「は、はい」

進藤先輩はあたしの頭を撫でていくと、進藤君の部屋を後にした。


 ……っ、先輩になでられちゃった……!


進藤先輩の行動一つ一つに、心臓が高鳴る。


やっぱり、進藤先輩のことが好き。
大好きです……。