「──もし、水嶋さんと結婚したら、どんな生活になるのかな」

「え?」

思わず進藤君を見ると、進藤君は真っすぐに見つめてきていた。

その目が離せない熱視線に、ドキッ──とあたしの胸が高鳴る。


「水嶋さん」

あたしの頬に、優しく進藤君の手が置かれる。


あたしは、この甘い展開に弱い──。


「──隼斗ー? 帰ってきてんの?」

階段を上ってくる進藤先輩の声で、我に返った。

進藤君もあたしと同じみたいで、ぱっと手を離した。


「あれ? 水嶋じゃん」

進藤先輩は部屋に入るなり、すぐにあたしを見つけた。

でも、彼は進藤君を見て、突然に自分の口をふさいだ。


「あ、そっか。隼斗の彼女だもんな」

──ツキン


進藤先輩の口から出た『隼斗の彼女』と聞いた瞬間、胸に少し痛みが走った。

やっぱり、あたしにはまだ進藤先輩への想いが残っているみたい。


進藤君はしばらく黙っていたんだけど、あたしにそっと耳打ちをした。


「俺、ちょっと買い物に行ってくるから。俺が戻るまで、兄さんと話してて」

「え?」

「兄さん」

あたしはどうしてなのかと聞き返そうとすると、進藤君が急に立ち上がった。


「ん?」

「俺、ちょっと買い物してくるから、彼女と一緒にいてくれる?」