その瞳で見つめて~恋心~【完】

「そういえば、ごめんなさい。女の子にあんなこと、言わせちゃって」

「え? ──あ、気にしてないよ。そもそも、俺の行いが悪いんだし。知らない? 俺、女遊びが激しくて、ああいう悪口とか言われるのなんて、慣れっこだよ」

慣れっこ……。


あたしは、その言葉が妙に気にかかってしまった。


「ホントに慣れてるの?」

「え?」

「あたしも地味だとかよく言われてきたけど、慣れたことなんて1回もない。でも、誰かから『大丈夫?』って言われると、『慣れてるから』って言っちゃうよ。進藤君も、同じなんじゃない?」

進藤君もあたしと同じで、平気だって意地張っているんじゃないかって思う。

だって、女の子の話を聞いていた進藤君の顔。

ひどく、傷ついていたから……。


あたしたちの間に重たい沈黙が流れた。

その沈黙が何を意味するのかわかって、あたしはハッと我に返った。


もしかして、生意気だとか思われちゃったかも!?


「ご、ごめんね! 知ったようなこと、言っちゃって……!」

「うん。水嶋さんの言うとおりだよ」

「──え?」

あたしの中で勝手に盛り上がっている最中に、進藤君がいきなり言葉を発したので、思わず聞き返してしまった。


あたしの、言うとおり……?