「うわぁ、かわいい!」

「楽しそうだね」

ショッピングモールのファッションショップ内ではしゃぐあたしに、進藤君が静かに言う。


その声に正気を取り戻した。


「ごっ、ごめんね。勝手にはしゃいじゃって……。つまんないよね?」

「ううん。逆に、水嶋さんが楽しそうにしてるから、俺はそれでいいよ」

「進藤君……。ありがとう」

「いいよ。その代わり、付き合った報酬はもらうからさ」

「え……」

彼の性格を考慮すると、思わず変な方向で考えてしまう。

だから、頬が熱くなった。


「あれ。期待してる?」

「きっ、期待なんかしてないよ! ただ、進藤君のことだから、その……恥ずかしい要求されるんじゃないかって、思っただけ……だよ」

「正解。だから、……覚悟しといてね?」

進藤君はそう、意味深長な笑みを浮かべた。


「か、覚悟しとく……」

やっぱり、そうなるんだ……。


また彼に遊ばれないよう、心中でがっかりしてしまった。