はにかんでお礼を告げると、彼はあたしを抱きしめた。


進藤君は華奢そうに見えるけども、やはり男なのであたしよりは体が大きいので、自分はすっぽり腕の中に収まった。


「水嶋さん、あったかいね……」

耳元で囁くように言われ、くすぐったかった。


けれども、うれしかった。

進藤先輩と付き合っている期間中は、進藤君との距離がこんなに縮まるなんて思っていなかったから。


「俺。水嶋さんを好きになって、よかった」

「ありがとう」

まだ、いいよね。
このままでいても。
 まだ、進藤君のぬくもりを感じてたい……。


あたしは彼の背中に腕を回し、静かに目を閉じる。

すると、進藤君が抱きすくめる腕の力を強めた。


「俺……、後悔させないから」

「うん……」

彼に包まれながら、小さく首を縦に振る。


後悔なんてしない。
あたしが進藤君を好きになったのは、事実。
だから、絶対に後悔しないよ……。


「あたしは進藤君だけが大好きだよ……」

「うん」

そうして、いくら時間が過ぎたかがわからないぐらいに抱きしめ合っていた。


けれども、進藤君といるこの時間を大切にしよう──。

そう、心に誓ったことだけは、覚えている。