昼休み──。


久しぶりに、屋上で進藤君とお弁当を食べることになった。


「今日もいい天気だねー。あ。初めて屋上で食べたときも、こんな空模様だったよね」

「うん。そうだったね」

あたしたちは鉄の柵近くに床に座ると、その背の高い囲いにもたれかかった。

あたしの中ではすっかり定番となった、屋上での過ごし方だ。


「あ。また、卵焼きだ」

「あっ」

あたしが弁当箱のふたを開けた途端に、卵焼きに目を付けた進藤君はそのおかずを摘まんで奪う。


「相変わらず、おいしいね。水嶋さんの」

「もう……。でも、ありがとう」

悪びれた様子もなく、むしろ子どものように無邪気に笑って喜んでくれた。


あのときとは違って、今はすごく楽しい。
こんなにうれしいことなんだ……。


「水嶋さんは俺がいなくて、さびしかった?」

「えっ……? さ、さびしかったよ? だってもう、進藤君のことが好きだったし……」

──って。
あたし、恥ずかしいこと言っちゃった!
今さらだけど……。


めずらしく素直に本音を吐いてしまったことに、頬が熱くなる。


「へえ、そうなんだ。うれしいなぁ」

そんな過剰な反応をするあたしに、彼はすごくニコニコと笑みを絶やさない。


その、いつまでも輝く笑顔が逆にこちらの不安を煽(あお)る。


なんか……、怖い……。