「すっきりした。由奈、気にしないでよ?」

と、笑顔で言ってくれた。

彼女の優しさが身に沁(し)みて、涙腺が緩みかける。


「うん。ありがとう」

「でも、なんかあったら言ってよね! あたし、由奈の友達なんだからさ」

うん、そうするよ。
奈月ちゃん、ホントにありがとう……。


彼女の言葉に甘えて、机の下で手をぎゅっと握りしめて決心した。


「じゃ、じゃあ……。ちょっと、屋上で話していいかな?」

さすがに教室では話せない事情があったので、屋上に誘うことにした。


「今日も空いてたね、屋上。──いやー! 快晴だから、気持ちがいいね!」

「うん」

奈月ちゃんは屋上に到着した途端に子供のようにはしゃいで、空を見上げる。


「で。どうしたの?」

奈月ちゃんはタイルに座って鉄柵によりかかったので、あたしも同じ体勢にする。


「うん。──あのね、進藤君とは付き合ってるフリだったの」

「えっ?」

「あたし、進藤先輩が好きだったんだけど、それが進藤君にバレちゃったんだ。だから、内緒にしてもらう条件だったの」

「ええっ!? じゃあ、進藤と付き合ってたのはあれ、脅されてたの!?」

「う、うん。そんな感じかな……」

そうとは言ってないけど、悪い意味で捉えるとしたら正しい言い方かもしれない。


「進藤、マジ、最低じゃん」

奈月ちゃんは眉間にシワを寄せて、目がつり上がってる状態で、すごく怖い顔をして言う。


まさに鬼の形相で、頭から角が生えてきそうだった。