だ、だって……。
それは、進藤君のことが好きなわけで。


言いたいのに、言いたい言葉はのどまで出かかっているのに、あたしのシャイな性格が大事な場面を壊していく。


「俺、確かに水嶋さんに好きだって言ってるけど、これでも応援はしてるんだよ? なのに水嶋さんと来たら、チャンスをそうやって逃してるわけだし」

わかってるよ。
わかってるけど、今は進藤先輩じゃないの。
あたしが好きなのは……!


そう思ったら、自然と涙が出そうになった。

涙をこらえるために、悔しいために唇を噛みしめていた。


言いたいのに、言えない。
勇気が出ないよ……。


「何も言わないんだね。判ったよ」

「えっ!? わ、わかったって……!」

「俺の役目はおしまい。そもそも、兄さんから告白されるのが俺の中では目標だったわけだし。よかったじゃん」

進藤君は自分の言いたいことをあたしにまくし立てると、背を向けて歩き出す。


「し、進藤君……!」

必死に呼ぶ。

だけど彼は返事をするどころか、振り向きさえもしなかった。


あたしはその場に座り込むと、進藤君への想いがあふれだした。


終わっちゃったんだ。
進藤君との日々が。


最初は苦手な人だった。

無理やりな恋だった。

だけど今は、進藤君がそばにいないと思うと、すごく淋しい。

今はもう、進藤君のことが好きなんだ。


なのに、最後まで言いたいことは言えずに一方的に別れを告げられてしまった。


──こんな終わり方じゃ、むなしすぎるよ……。


地面を見つめだした瞬間、涙が流れて、流れて──止むことを知らなかった。