恋愛初心者なあたしだ。

何をするのかわからなければ、何をされるのか、わからない。

とにかく不安になってしまうんだ……。


「怖いよ……」

「何で?」

「もしかしたら、あたしを裏切るかもしれない……。それが怖い……」

そう言うと、彼に肩に優しく触れられ、ゆっくりと抱き寄せられる。


「俺を信じて……」

──あたたかい。

抱きしめられた瞬間、進藤君のぬくもりはすぐに伝わってくる。


それに、男の子らしい筋肉質な腕や胸。

包容感がある体の面積。

これが男の子なんだ──。


「水嶋さん……」

進藤君は静かに、あたしの名前を呼ぶ。


その声に反応して顔を上げたら、間近に進藤君の顔があって驚いた。


しばらく見つめ合ったまま──いや、目を離せずにいると、進藤君は目を閉じて顔を近づけてくる。


──ドキドキ……と心臓はありえない速さで、脈を打つ。


「……っ、ダメェ!」

あたしは進藤君の胸板を押して、遠ざかった。


「え?」

いきなり拒否したから、進藤君はキョトンと立ち尽くしている。


「キ、キスは……。好きな人とじゃなきゃ、やだよ……」

キスだけはゆずれない。

それに、心の準備もできてない──。