すると健は
「よくできました」
と言って、少し嬉しそうな顔をした。
「もう、『荒城』って呼ぶなよ?」
「うん・・・健」
もう一度言ってみた。
・・・うん、大丈夫。
これからは、『健』って呼ぶ。
「よかった。ずっと名字で呼ぶから、気になっててさ」
そうだね・・・
付き合ってからも、ずっと名字だったもんね。
「前に呼んでもらって以来、やっぱ『荒城』だもんな―」
・・・ん?
「あたし、前に健って呼んだことあったっけ?」
「1回だけな」
「いつ!?」
全然覚えがない・・・。
「ナイショ」
「え―!?」
なんて会話をしていると、気づけばもう夜8時。
「椎那、腹減ってね?」
言われてみれば、健の看病行ってから何も口にしてない・・・
「すいた・・・かな」
「んじゃ、何か作ってやるよ」

