・・・え
よ・・・よび・・・
「ヨ・・・びすて?」
そんなこと・・・そんな・・・
む、むりっっ!!!
恥ずかしすぎる!!!
「俺は呼んでるのに・・・・・」
荒城はいつも通り、近寄ってくるけど・・・
あたしは下を向いたまま、この場をどうにかしようとした。
しようとした・・・けど・・・
またしても、荒城はすぐそこ。
そして、耳元で低くかすれた声で言った。
〝椎那、って〟
な・・・あ・・・あぅ・・・
一気にからだが熱くなり、言葉を発せない、何も考えられない。
・・・荒城の事以外。
「俺にも、ちゃんと『健』っていう名前があるんだから♪」
「そう・・・だよね―・・・」
でもね―・・・恥ずかしいんだよ!!
呼びたいよ、健、って。
呼びたい・・・けど・・・
「ほら、呼んでみ?」
あたしの目を見て微笑む。
呼ぼうとしても・・・なかなか言い出せない。
でも・・・あたしも変わらなきゃ。
あたしは少しためらいがちに、でも、ちゃんと伝わるように言った。
「・・・たける・・・健!」

