【椎那side】

それは、予想していた事だった。



トイレから出て荒城を探すこと数分。



あっ、いた!



そこには荒城・・・そして、ミカさんがいた。



何か話しているけど、ここからじゃよく聞こえない・・・。



まるで、聞いちゃだめだ、って言われているみたいに。



でも、それとは裏腹に、あたしの足は確実に2人へ近づいて行った。



そして、



「・・・ーあたし・・・健が大好きなの!!」



あ・・・



それを聞いたと同時に、あたしの動きは止まった。



「やっぱり・・・ー」



ミカさん、やっぱり荒城が・・・でも・・・



自分の心に、必死に〝仕方ない〟と言い聞かせる。



それでも・・・次々に涙が溢れてくる。



その時だった。



ギュッ



え・・・・?



あたし・・・・え・・・?



しばらく、時間がかかった・・・荒城に抱きしめられているという事に気づくまで。



「え・・・ちょ・・・」



「椎那・・・」



「あ・・・らき・・・?」