【健side】
絶対何かあったんだ。
そして・・・それにはミカがからんでるはず。
俺がそう思った直後だった。
楽しそうに音楽を聴きながら、トイレから出てきたヤツ。
謎めいていた空白の時間が分かった気がした。
「おい、山内に何をした」
俺はそいつの腕をつかんで言った。
「健ぅ~!何もしてないよぉ~??」
こいつ・・・絶対ぇ許さねぇ・・・!!!
「山内に何かしたら俺が許さねぇ。女だからって容赦しねぇから」
「何よ・・・そんなにあの子がいい!?!?あたしの事、大好きって言ったじゃない!!あたしっ、あたし・・・健が大好きなの!!」
「俺だって同じだよ・・・」
あの笑った顔、照れた顔、怒った顔、悲しそうな顔・・・
全てが愛しくてたまらない。
「俺も・・・お前が俺を想う気持ち並に・・・いや、それ以上に、山内が好きだ」
ヤツの瞳を見てキッパリ告げると、ミカは泣きそうな顔をして踵を返した。
その時・・・
「やっぱり・・・ミカさんは、荒城の事好きなんだね」
聞き慣れた声が背後からした。
振り返ると・・・泣き腫らした目をした山内が、そこにいた。
「そうだよね・・・つ、付き合ってたんだもん・・・し・・・仕方・・・ないよ・・・っ」
言葉一つ一つの重さが、涙を持って知る。
「・・・・」
俺は・・・

