【椎那side】
どれだけ時間が過ぎただろう。
あたしは、まだトイレにいた。
・・・わかってる。
あの人は、荒城にとって過去の人。
でも・・・ミカさんにとっては?
・・・どうしたらいいんだろう。
諦めるべき?
・・・・想い続けるべき?
自問自答を繰り返した。
頭の中で今までの日々を回想する。
荒城が転校してきて・・・何でか、あたしの名前を知っていた。
エリに、〝好きになっちゃえ!〟なんて言われて。
最初は、そんなの無理!って思ってたけど・・・
〝山内!〟
〝笑ってる山内がいい〟
学校が、毎日が、こんなに幸せって思った事なかった。
全ては・・・荒城と出会った日から始まったんだろうな。
・・・決めた。
この想い・・・たとえ届かなくても、叶わなくても、
想い続けよう。
元カノだろうが何だろうが関係ない。
あたしは、あたしだもん!
涙をぬぐって、扉を開けた。
・・・でも、現実って甘くないんだね。
「健はあたしのもんなんだから。あんたの幸せめちゃくちゃにしてやるよ」
鬼のような形相で、ミカさんが待ち構えていた。

