【健side】
「これを移行して、X≦5となります」
「ス――ピ――ス――ピ――」
俺らは数学の授業中。
にも関わらず、隣で寝てるのん気なやつ。
幸せそうに寝ている山内を見て、少し安心する。
てか、寝顔見ただけで安心する俺って・・・。
「コホン、コホン」
突然、大きな咳払いが聞こえた。
顔を上げると、おっさんがこっちを凝視している。
やべぇよ、やべぇよ・・・おっさん怒るとマジ面倒臭ぇ!!!
〝山内!おい・・・山内起きろ!〟
俺は小声で、体をツンツンつつきながら山内を起こす。
やっと起きた山内は目がトローンとした状態で言った。
「ふぇ?・・・たける?なに?」
・・・ちょっとまて、コイツ・・・い、いま・・・俺を・・・た、
た、たけっ・・・たけるって・・・健って言ったよな!?
な・・・こんな目トロトロでふにゃぁってした山内に・・・たけるって・・・
今まで以上にカワイイ山内に・・・呼び捨てにされた・・・
俺はニヤニヤを堪えた。
でも、たぶん堪え切れてない・・・
それから数分・・・いや実際は数秒だと思うんだけど。
「・・・おっ、おっさんが睨んでる。寝るな」
そう言うのが精一杯だった。

