もしも、一つだけ願い事を叶えてくれるのなら、私は迷わず願うだろう…



『ヒロトをください』と…。




私はようこと会う時間を増やした。

一人でいると、相変わらずヒロトのことばかり考えるから。

想えば想うほど、遠くなる気がして辛かった。


ヒロトは私を忘れることを選んだんだ。

そして、もう既に新たな恋のスタートをきっているかもしれない。

私は携帯電話の中の、何の意味も持たないヒロトの番号を消去した。


繋がってるものが何一つ失くなってしまった。



久しぶりに、ようこの家に遊びに行った。
以前、遊びに行ったのは、一弥と付き合う前だったから、とても懐かしく感じた。
家具の配置や、部屋の雰囲気もあの頃と変わってなくて、あの頃に戻れたような気になった。


ようこは、温かいミルクティーをいれてくれた。



「ようこ、奇跡って信じる?」
と、私は思いついたように聞いた。


「奇跡かぁ。信じていれば起こるって聞いたことはあるけど…。やっぱ、自分次第なんじゃない?」


「自分次第?」
と私。


「自分が諦めたら、そこで終わりってこと。だと思わない?」